トークノートが次のステージに進むためのオフィスデザイン

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2016年10月1日に、約4ヶ月間の準備を経て、トークノートは現在のオフィスに移転しました。今回はオフィスの設計から施工までを手掛けたDRAFTの企画制作部 テクニカルデザイナー 石原政直さんに話を聞きました。

小池代表のこだわりにどんな提案ができるか

デザインのイメージがしやすかった

オフィス移転の内装デザインに関する話をいただいたのは、移転の4ヶ月前でした。複数の会社とのコンペティションと聞いていたので、まずはイメージや要件をヒアリングしに当時のオフィスを訪れました。それが小池社長との最初の出会いです。

小池社長は飲食店を経営されていたときに、店舗のデザインや設計に携わったことがあるとおっしゃっていたので、打ち合わせはスムーズに進みました。他のお客様の場合、初回の訪問時はイメージや課題がまだ明確ではなく、おおまかに要件をお伺いすることが多くなります。小池社長は「ニューヨークのAce Hotelのような、ビンテージ家具が似合うカジュアルでリラックスできるオフィスにしたい。」とかなり具体的なビジョンを持っていました。おかげで、わたしもどんなデザインを望んでいるのかがすぐにイメージでき、それをもとにトークノートにとっていいインテリアとは何かを固めていく形でデザインを進めていきました。

話していくうちに、小池社長とはフィーリングがあっていると強く感じました。条件を抜きにして、 この人と仕事がしてみたいと率直に思うぐらい、デザインの好みがすごく似ていると思いましたね。ただ、わたしが持っているTシャツと同じものを小池社長が着ていたときは、さすがにビックリしました(笑)。

お客様の意見にあわせ、一緒にデザインしていく

小池社長とフィーリングがあったことが、わたしたちに内装を任せていただいた要因として大きいかもしれないです。そこから施工に入るまで、何度か小池社長と打ち合わせをしました。小池社長はこだわりを持っていますが、決して意見を押し付けたり、無理を言ったりされない方なので、お互いの意見を交えながら、一緒にデザインをブラッシュアップしていきました。お互いが対等に意見を出し合える関係だったので、わたしたちとしても気持ちよく仕事を進めることができました。

施工は移転の1ヶ月前に始まりました。内装設計の場合、施工開始後に予測していない事態がおこることもあります。トークノートの場合も、施工が始まってから予想以上の配管や配線が天井内にあるとわかり、完成まで気を抜けませんでした。

 自然と会話が生まれるように設計されたトークノート本社エントランス

自然と会話が生まれるように設計されたトークノート本社エントランス

想像を超えた発見があるように

トークノートは、非常に明るい雰囲気の会社だと思いました。そう感じたのは、完成後の移転パーティーにお招きいただいたときです。社員のみなさんと話す機会があったのですが、やりがいを持って仕事をしているのが伝わってきました。活気に溢れていて、とても素敵な会社だと思いました。

今回のオフィスの設計・デザインで一番意識したのは、それぞれの空間で生まれるコミュニケーションです。エントランスのソファは、ラウンジのように気軽におしゃべりができる空間になるように設置しました。奥のバーカウンターは、ドリンクを片手に仕事のやりとりができるように設計しています。あとは、セミナーなどで使えるように雛壇を設けました。セミナーがないときは、社員のみなさんが軽く腰をかけ他愛のない会話をするシーンを想定しています。執務室のデスクは基本的にフラットな配置になっています。ですから、執務室の外では、ソファやバーカウンター、雛壇など、ちょっとした高低差を作り、いつもと違う目線になるようにしています。そうすることで偶発的に会話がうまれ、新しいコミュニケーションができるのではないかと考えました。

好きな場所や落ち着く場所は、人それぞれです。デザインだけではなく、機能面も工夫を凝らして設計したので、使いながら新しいコミュニケーションの仕方や働き方など、わたしたちの想像を超える発見をしてほしいですね。また、今回の依頼のように、オフィス移転は組織の拡大が理由であることがほとんどです。ですから、わたしたちもお客様が「次のレベルに進んでいけるように」という想いを込め、依頼に向き合います。しかも、トークノートの移転先は出世ビルとしても有名な黒崎ビルでした。今回の移転により、トークノートが次のステージに進むためのきっかけのひとつになれたら嬉しいです。

 DRAFTの強みについて語る石原氏

DRAFTの強みについて語る石原氏

今までにないものをつくる

お客様の要望とわたしたちの想いを掛け合わせる

デザインにトレンドはありますが、あまり意識しすぎないようにしています。あと、DRAFTだからこのデザインというものもありません。お客様の要望にいかにしてアレンジを加えられるかがわたしたちの仕事だと思っています。例えるなら、料理人ですね。お客様のご注文に応じてどう味付けするかみたいな感覚です。お客様の課題を合わせた提案と、今までにないものをつくりたいというデザイナーの想いを掛け合わせて、最高のものをつくろうと思っています。だからどんなお客様でも似通ったデザインにはなりません。

DRAFTにしかない強みを活かす

DRAFTの強みは、デザイン力と自社で施工まで手掛けられることです。デザインについては、定期的に勉強会や講習を開催していて、スキルアップに努めています。今までにないものをつくるという想いが会社全体で強いので、新しいものをつくれるように日々切磋琢磨しています。自社にプロジェクト・マネジメント(PM)部門を抱えるデザイン会社は少ないので、それも他社との差別化になっていると思います。デザインとPMがあわさることで、提案時点でコストコントロールができるため、そこが決め手になることはよくあります。DRAFTにしかない強みを活かした提案ができるのは、会社としてメリットだと感じています。

ゴールをイメージして仕事をはじめる

個人的には、スタートからゴールまでを描きながら仕事をするようにしています。デザインのイメージや機能面の要件など、初回のヒアリングでお伺いすることが、設計の基礎づくりにおいて一番重要になります。ですから、初回でどれだけ流れを掴めるかを意識しています。
今までの経験から自然とそのような考えになりました。この業界で仕事を始めた頃に勤めていた設計事務所では、人数も少なく厳しい環境で右も左もわからないまま、とにかくがむしゃらに働きました。毎日が修行でした。3年ぐらい経った頃に、やっとひとつひとつの作業がつながって、ゴールをイメージしながら作業に取り組めるようになりました。そうするうちに、スピードも格段に上がるようになり、自分の成長を感じて自信も持てるようになりました。別の業界で営業職も経験したのですが、営業も先を掴むことが商談の流れを左右します。自分の中で先にゴールを描く、常にこれを意識して仕事をしています。

 社員の働きやすさにこだわった表参道にあるDRAFT本社オフィス

社員の働きやすさにこだわった表参道にあるDRAFT本社オフィス

業界の“新しい働き方”をつくりたい

好きだけじゃ続けられない業界の働き方をかえる取り組み

DRAFTは、設計・デザイン業界の新しい働き方をつくっていこうと考えています。この業界は、主に2つに分かれると言われています。いわゆるアトリエ系と言われるような少数精鋭の設計事務所と、ゼネコンなどの大手企業です。アトリエ系の事務所はひとりで複数の案件に携わり、幅広い経験を積むことができますが、制度や福利厚生、給与などは期待できないことが多いとよく聞きます。大手企業は給料も休日も安定しています。ですが、規模が大きい分、システマティックに働く必要があるので、基本的にデザイナー個人の意見が反映されにくい傾向にあると思います。そこでDRAFTは、両者の利点を掛け合わせて、デザインの追求をしつつ、社員を幸せにする。それが実現できる環境をつくっています。

まず社員が幸せであるためには、ワークライフバランスが大切だと思います。この業界はハードワークなので、好きじゃないと続けられません。覚悟を決めてこの業界に入ったとしても、好きよりもつらさが勝ってしまうことがあるのは否めません。わたしもデザイン専門学校時代に同期が40人ほどいましたが、半数ほどしか業界に就職しませんでした。現在まで続けられている人も5、6人じゃないでしょうか。どんなに好きでも、それだけではやり続けていくのは厳しい。これが現実です。ですから、仕事とプライベートのバランスをとれることが大切になってくると思います。

DRAFTでは、長時間労働をしないための制度を設けています。例えば、MST45という制度があり、毎日平均19〜20時には帰宅するスケジュールで業務を管理し、どんなに遅くなっても22時までしか残業できないように徹底しています。定時の30分前と、終業30分前の21時半になると、帰りたくなる音楽が流れます。『歩いて帰ろう』とか『Let It Be』とか。そして、音楽が終わるとまさかのブレーカーが落ちます。強制的に完全消灯です(笑)。最初は、急な出来事にあちこちで悲鳴が聞こえたりしていましたが、もうみんな慣れました。この制度によって、“時間を大切にしよう”と意識して動くようになったので、生産性が上がりました。でも、たまにワンコーラスとツーコーラスを聴き間違えて、データ保存前にブレーカーが落ちてしまい、「やってしまった!」と言うこともあります(笑)。

大切なのは組織力

社内にいられる時間が短くなっているので、より効率的に働くために分業を進めています。ひとつの依頼を完了させるまでには、企画、デザイン、ディレクションなど様々な専門的な知識と高度なスキルが必要とされます。ひとりの社員が浅く広い知識で作業を行うよりも、ひとつの領域で高いスキルを持った社員が複数集まって作業を進めたほうが圧倒的に効率的です。社員もそれぞれが得意分野を活かしつつ、スキルを伸ばすことができるので、専門性を高めることができます。

分業の取り組みで、2013年にフィリピン・セブ島オフィスを設立しました。そこでは、20名の現地スタッフが図面の3Dイメージ作成を担当しています。知らない方も多いと思いますが、セブ島はデザインの学校が多く、技術力のある人材が豊富です。今や海外ともFaceTimeなどを使えば簡単にやりとりができるので、セブ島オフィスを立ち上げたことで最も時間のかかる3Dイメージの制作時間の短縮を実現することができました。

労働時間の短縮や分業を実現できるのは、組織力が強いからだと思います。定期的に新卒も中途も入社し、日々社員数が増えている中で、組織的に働くのは大変な部分もあります。ルールややり方を少しずつ変化させ、組織がうまく回るように改良が求められます。でも、今のDRAFTにいる社員はひとりひとりがルールに適応しているので、時間が足りない、どうにもならないという状況には陥りません。同時に各自のタイムマネジメント力やコントロール力も日々高まっていると思います。

社員を幸せにする取り組み

働き方にフォーカスした取り組みや制度だけじゃなく、他にも社員を幸せにする取り組みがあります。積極的に英語を学べるように、週2回英会話教室を会社で開催しています。セブ島オフィスとのコミュニケーションを取るためには英語が必要ですからね。4名のネイティブスピーカーを招いてレッスンをしてもらったり、定期的にTOEICも受験したりしています。
また社員の健康管理の取り組みとして、社内に専用のカフェを設置しています。栄養士の資格をもった専任の社員が常駐していて、軽食もドリンクも昼食も基本的に無料で提供されます。仕事でもプライベートでも健康であることは一番大切なので、社内カフェ制度はすごく助かっています。

 ディスプレイにはDRAFTの理念「ALL HAPPY BY DESIGN」が映されている

ディスプレイにはDRAFTの理念「ALL HAPPY BY DESIGN」が映されている

いい会社をつくる秘訣は、“人”である

社員のことを考えて自主的に始めている

様々な取り組みが成功しているのは、代表の山下の社員への想いが伝わっていて、社員が協力的になれる状態だからだと思います。山下は常に世の中の先を読み、ワークライフバランスについても世間の流れがあるから始めたことではなく、話題になるずっと前から取り組んでいました。社員のためを思うからこそ、働き方を変えて、もっといい成果を出せる環境をつくろうと取り組み、社員もそれぞれの“デザインが好き!”という気持ちを解放させて、下から上に提案を持ちかけています。その結果、みんなでいいものをつくろうとする社風が根付いたと思います。

みんな“いい人”

新卒でも中途でも、採用で意識していることは、その人が“いい人”かどうかです。社内には様々なバックグラウンドの人がいます。デザインの学校を卒業したばかりの人、ずっとこの業界を渡り歩いている人、全く別の業界にいた人もたくさんいます。でも共通点は、みんな“いい人”であることです。すごく漠然とした表現になってしまいますが、わたしが面接を受けたときも山下に、DRAFTには「いい人しかいない」と言われました。実際に入社してからわたしもそう感じています。結局いい会社をつくる秘訣は、“人”が重要だということです。

今までにないデザインを

DRAFTの理念は「ALL HAPPY BY DESIGN」です。 これは創業当初から変わっていません。デサインを通して人を幸せにしていこうという意味です。どんなときも根底にはこの言葉があります。これからも、この気持ちを大切にして、今までにないデザインを追い求めていきたいと考えています。